【029】譲り受けた特許出願について新規性喪失の例外適用を申請できるか?

Q)Aがした発明について特許を受ける権利をBが譲り受け、2019年5月10日にBがこの発明を特許出願しました。しかし、その後Bが調べてみたところ、Aは同年3月1日付けで発行された雑誌にこの発明を発表していたことが判明しました。このままでは、本件特許出願は新規性欠如を理由に拒絶されてしまいます。Bは、新規性喪失の例外適用の申請を行うことはできますか?現在は、2019年5月15日です。

A)特許法第30条第1項又は第2項では、権利者の意に反して、又は権利者の行為に起因して発明が公開され、その後、その者が特許出願をした場合について規定しています。そして、その発明について、発明が公開されてから1年以内に、特許を受ける権利を承継した者が特許出願をした場合も、第1項又は第2項の規定が適用されます。
 このケースについてみますと、Aから特許を受ける権利を承継したBは、新規性喪失の例外適用の申請を行うことができる地位にあります。そして、発明が発表された2019年3月1日から1年以内に、特許出願がなされています。よって、Bが、特許出願日(同年5月10日)から30日以内に、特許法第30条第3項の証明書を特許庁に提出すれば、本件特許出願について新規性喪失の例外が適用される可能性があります。

なお、新規性喪失の例外が認められる期間は、従来6か月でしたが1年に改正されました(平成30年6月9日以降の出願に適用)。