【057】国内優先権の主張

Q)以前した特許出願に対して新規な内容を追加したいと思います。どうすればよいでしょうか。

A)特許出願に対して追加する内容が、新規事項(特許法第17条の2第3項)に該当する場合は、国内優先権の主張によることがよいでしょう(特許法第41条)。国内優先権の主張は、我が国にした先の出願を基礎として優先権の主張をすることにより、これと同一内容を含む後の出願について先の出願時にされたのと同等の利益ある取り扱いを受けることができます。
 基本的な発明の出願の後に、その発明と後の改良発明とを包括的な発明としてまとめた内容で特許出願をすることができ、技術開発の成果が漏れのない形で円滑に特許権として保護されることが容易となります。

 国内優先権の主張をするには、下記の❶~❸の要件を満たすことが必要です。
❶先の出願(基礎出願)と後の出願(優先権主張を伴う出願)の出願人が同一であること。
・出願人が同一か否かは、後の出願時点を基準に判断されます(第41条第1項本文)。
・出願人は、先の出願について仮専用実施権を有する者があるときは、後の出願の際に、その者の承諾を得ていることが必要である(同条第1項ただし書)。

❷優先期間内であること。
・原則として、国内優先権の主張を伴う後の出願ができる期間(優先期間)は、先の出願の日から1年です(第41条第1項第1号)。

❸次に掲げる(i)から(iv)までのいずれかに該当しないこと。なお、意匠登録出願を国内優先権の主張の基礎とすることはできません(第41条第1項)。
(ⅰ)先の出願が出願の分割に係る新たな出願、出願の変更に係る出願又は実用新案登録に基づく特許出願である場合(同項第2号)
(ⅱ)先の出願が国内優先権の主張を伴う後の出願の際に放棄され、取り下げられ、又は却下されている場合(同項第3号)
(ⅲ)先の出願について、国内優先権の主張を伴う後の出願の際に、査定又は審決が確定している場合(同項第4号)
(ⅳ)先の出願について、国内優先権の主張を伴う後の出願の際に、実用新案権の設定の登録がされている場合(同項第5号)