【004】出願中の発明者の死亡

Q)弁理士に出願を依頼していたところ、発明者が死亡しました。その場合、弁理士の代理権はどうなりますか?

A)結論からいうと、弁理士の代理権は消滅しません。弁理士は委任による代理人(任意代理人)にあたりますが、このような委任による代理人の代理権は、本人の死亡によっては消滅しません(特許法11条)。民法では、代理権は本人の死亡により消滅するのが原則です(民法111条)。しかし、特許手続等に関しては、このような民法の原則をそのまま適用することが本人の保護にそぐわない場合が多々あります。例えば、弁理士が手続をしたところ、実はその前に本人が死亡したために代理権が消滅していたとすると、弁理士が行った手続が無効となってしまいます。そこで、特許法では、委任による代理人の代理権は、本人の死亡によっては消滅しないと規定したのです。