【086】2回目以降の拒絶理由であっても「最初の拒絶理由通知」となる場合

Q)2回目以降の拒絶理由であっても「最初の拒絶理由通知」となりえる場合とは、どのような場合ですか?

 

A)まず、❶2回目以降の拒絶理由通知であっても、1回目の拒絶理由通知において審査官が指摘しなければならなかった拒絶理由を通知する場合が挙げられます。この場合、その拒絶理由は補正によって生じたものではありませんから、「最初の拒絶理由通知」に該当するというわけです。

そして、❷1回目の拒絶理由通知において指摘しなければならなかった拒絶理由と、拒絶理由通知に対する応答時の補正によって通知することが必要となった拒絶理由とを同時に通知する場合も、「最初の拒絶理由通知」になります。

❷に該当するものとして、例えば、以下のような場合が考えられます。

・例)1回目の拒絶理由通知で新規性及び進歩性欠如の拒絶理由を通知したときには、明細書等の記載不備、発明の単一性の欠如等の拒絶理由を見落としており、その後、その拒絶理由を発見した場合

・例)A又はBといった選択肢で表現された発明特定事項を含む請求項に係る発明について、A又はBのいずれも審査対象としたにもかかわらず、1回目の拒絶理由通知のときには選択肢Aに基づいて把握される発明についてのみ拒絶理由を通知し、選択肢Bに基づいて把握される発明については拒絶理由を通知しなかった場合であって、2回目の拒絶理由通知で、選択肢Bに基づいて把握される発明について拒絶理由を通知する場合

 

また、❸1回目の拒絶理由通知において示した拒絶理由が適切でなかったために、再度、適切な拒絶理由通知をし直す場合も、「最初の拒絶理由通知」になります。

❸に該当するものとして、例えば、以下のような場合が考えられます。

・例)1回目の拒絶理由通知で、先行技術文献を引用して進歩性欠如等の拒絶理由通知をしたところ、これに対する補正がされた。この場合において、補正がされなかった請求項について、意見書の内容を勘案した結果、先の拒絶理由が妥当でなかったと判断し、異なる新たな先行技術文献を引用し直して拒絶理由通知をする場合

・例)発明特定事項Aと発明特定事項Bとから構成される発明に対して、新規性及び進歩性欠如の拒絶理由を通知したところ、Aについては補正がされ、Bについては補正がされなかった。この場合において、補正がされなかったBに対して引用していた先行技術文献が適切でなかったため、先行技術文献を変更して、再度拒絶理由通知をする場合

(審査基準 第Ⅰ部 第2勝 第3節 3.2.2等)