【039】実施可能要件への対応

Q)特許法第36条第4項第1号(実施可能要件)違反であるという拒絶理由を受けました。
どのような対応をすればよいでしょうか?

A)出願人は、実施可能要件違反の拒絶理由通知に対して、意見書、実験成績証明書等により反論、釈明等をすることができます。以下、審査基準(第Ⅱ部 第1章 第1節 4.1.1)の記載を踏まえて説明します。

❶例えば、出願人は、審査官が判断の際に特に考慮したものとは異なる出願時の技術常識等を示しつつ、そのような技術常識等を考慮すれば、発明の詳細な説明は、当業者が請求項に係る発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるといえることを、意見書において主張することが考えられます。

❷例えば、出願人は、実験成績証明書により、意見書でした主張を裏付けることもできます。
 しかしながら、発明の詳細な説明の記載がもともと不足しているために、出願時の技術常識を考慮しても、発明の詳細な説明が、当業者が請求項に係る発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるといえない場合には、出願後に実験成績証明書を提出したとしても、発明の詳細な説明の記載不足を補うことはできませんので、注意が必要です。

 上記した❶、❷はあくまで一般的な具体例の1つです。したがって、拒絶理由の内容に応じた個別具体的な対応ができないか、弁理士に相談されることがよいでしょう。