【113】先使用権における設計変更の程度

Q)先使用権について、特許出願の時点で、発明の内容について事業を実施してはいましたが、その途中で若干の設計変更を行っていました。このような場合は、先使用権は認められないでしょうか?

A)このケースでは、先使用権における「発明の範囲内」とはどこまでの範囲をいうのかが問題となると思います。この点、ウォーキングビーム炉事件(最高裁第二小法廷昭和61年(オ)454号)では、先使用権の効力は、特許出願の際(優先権主張日)に先使用権者が現に実施又は準備をしていた実施形式だけでなく、これに具現された発明と同一性を失わない範囲内において変更した実施形式にも及ぶ(発明思想説)、と判示されています。この点について、地裁レベルですが、特許請求の範囲と関係しない箇所の変更は同一性に影響を与えないと判示した事案もあります(大阪地裁 平成16年(ワ)第9318号等)。