【011】補正の内容的制限

Q)明細書等の補正として許容される内容はどのようなものですか?

A)特許法では、無制限に明細書等の補正を認めているわけではありません。不完全な形で出願した明細書やクレームであっても、これらを無制限に補正できるとしてしまっては、先願主義の趣旨を没却しますし、第三者にとっては不測の不利益となってしまいます。
 そこで、明細書等の補正については、時期に応じて一定の制限が課せられています(特許法17条の2第1項各号等参照)。

❶出願から特許査定の謄本送達前まで(ただし、拒絶理由通知を最初に受けた後を除く。)
❷拒絶理由通知を受けた後の第48条の7の規定による通知を受けた時
・新規事項追加禁止(17条の2第3項)

❸最初の拒絶理由通知を受けた時
・新規事項追加禁止(17条の2第3項)
・シフト補正禁止(同条第4項)

❹最後の拒絶理由通知を受けた時
❺第50条の2の通知を伴う拒絶理由通知を受けた時
❻拒絶査定不服審判の請求と同時
・新規事項追加禁止(17条の2第3項)
・シフト補正禁止(同条第4項)
・目的外補正禁止(同条第5項各号)
 請求項の削除、請求項の限定的減縮(+独立特許要件)、誤記の訂正、明瞭でない記載の釈明、のいずれかを目的とするものに限られます。

 つまり、❶❷⇒❸⇒❹❺❻と進むにつれて補正の内容的制限が厳しくなっていきます。