【032】特許を受ける権利の譲渡

Q)共同で特許出願をしました。私の持ち分を、第三者に譲渡しようと思うのですが可能ですか?

A)特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その持分を譲渡することができません(特許法第33条第3項)。したがって、自己の持ち分を第三者に譲渡するにあたっては、他の共願者の同意が必要になります。
 他の共願者の同意を必要とする理由としては、発明を実施するにあたっては、それに投下した経済的・人的資本の程度によって得られる結果が著しく異なることが考えられます。そのような背景を踏まえると、特許を受ける権利の持分の移転を全く自由にしてしまうと、持分譲渡によって共有者が変わることにより他の共有者の持分の価値も著しく違ってくる場合がありえます(例えば、個人発明家が発明を実施するのと大企業が発明を実施するのとでは、その規模が全く違うということは容易に想像できます)。このような結果となることを防ぐため、持分の譲渡には他の共有者の同意を必要としました。