【035】特許を受ける権利の二重譲渡における同日出願事例

Q)発明者Aが、その発明についての特許を受ける権利をBに譲渡しました。しかし、発明者Aは、Cにもその特許を受ける権利を譲渡していました。両者は別個に特許出願をしましたが、その出願日は同じ日となってしまいました(同日出願)。この場合、特許を受ける権利の帰属はどうなるのでしょうか?

 

A)このケースは、このケースは、発明者Aが特許を受ける権利をBCに二重譲渡し、BCが同日出願するに至った事例といえます。原則として、特許出願前における特許を受ける権利の承継については、特許出願をすることによって第三者にその権利を主張することができます(特許法第34条第1項)。この点、特許法第34条第2項では、特許出願人の協議によって優劣を定める旨を規定しています。

この考えは、特許法第39条の同日出願の取り扱いにも通じます。すなわち、特許法においては、新規性判断の場合を除き、特許出願の先後については日の先後のみを問題とし、同日中の時間の先後は問題としません。

このケースでもその趣旨が妥当し、同日に2人以上の者による2以上の特許出願があったときは、これらの特許出願人に協議を命じ、協議により定められた者のみが承継について第三者に対抗することができるものとしています。