【017】手続の効力の承継
Q)特許出願あるいは特許権について権利の移転があった場合、どのように取り扱われますか?
A)原則として、特許権その他特許に関する権利についてした手続の効力は、その承継人にも及びます(特許法第20条)。なお、特許法第20条では、権利の移転前にされた手続を規定し、同条21条では権利の移転後にする手続について規定しています。このような規定が設けられた趣旨は、行政上の便宜のためであり、権利の移転の度ごとに同じ手続を繰り返すことの煩雑と不利不便を避けるためであると解されています。
例えば、出願人Aの特許出願において、審査官がAに宛てて拒絶理由の通知をした後に、特許を受ける権利がAからBに移転した場合、審査官は、Bに対してあらためて拒絶理由を通知する必要はなく、Aに対して指定した相当の期間内に応答手続がなされなかったときは、そのまま拒絶査定をしても応答の機会をBに与えなかったことになりません。
また、無効審判において、特許権者Cが証拠調べを申し立てた後に、特許権がCからDに移転された場合、その申立の効力はDに承継され、特許庁は特許権の移転後も証拠調べの申立てがあったものとして取り扱うということになります。