【058】国内優先権の主張の効果

Q)国内優先権の主張の効果としてはどのようなものがありますか?

A)国内優先権の主張を伴う後の出願に係る発明のうち、その国内優先権の主張の基礎とされた先の出願の当初明細書等に記載されている発明については、以下の❶~❻までの実体審査に係る規定の適用に当たり、当該後の出願が当該先の出願の時にされたものとみなされます(第41条第2項)。
❶新規性(第29条第1項)、
❷進歩性(第29条第2項)
❸拡大先願(第29条の2本文)
❹発明の新規性喪失の例外(第30条第1項及び第2項)
❺先願(第39条第1項から第4項まで)
❻上記❶~❺までについての独立特許要件(第17条の2第6項において準用する第126条第7項)

 そして、審査官は、国内優先権の主張の基礎となる先の出願の出願日と後の出願の出願日との間に拒絶理由の根拠となり得る先行技術等を発見した場合のみ、優先権の主張の効果が認められるか否かについて判断すればよいとされています(審査基準 第Ⅴ部 第2章 3.1等)。国内優先権の主張の効果が認められるか否かにより、新規性、進歩性等の判断が変わるのは、先の出願の出願日と後の出願の出願日との間に拒絶理由で引用する可能性のある先行技術等が発見された場合に限られるからです。
 審査官は、国内優先権の主張の効果について判断が容易である場合等に、先行技術調査に先立ってその判断をしてもよいとされています。先行技術調査に先立って優先権の主張の効果について判断をすることで、先行技術調査の時期的範囲が限定され、効率的な審査に資する場合もあるからとされています。