【062】分割出願の要件
Q)分割出願とはどのようなものですか?分割出願ができるのはどのような場合でしょうか?
A)分割出願とは、2以上の発明を包含する特許出願の一部を、1又は2以上の新たな出願としたものをいいます。特許出願の分割については、特許法第44条に規定されています。同条は、特許出願の分割が適法になされた場合には、新たな特許出願は、もとの特許出願の時にしたものとみなされる旨を規定しています。
分割出願ができるのは、下記❶~❺の要件を満たす場合です。
❶原出願の出願人と分割出願の出願人とは、特許出願の分割時において一致していること(第44条第1項)。
❷以下の(i)~(ⅲ)のいずれかの時期にあること。
(ⅰ)明細書、特許請求の範囲又は図面(明細書等)について補正できる時期(第44条第1項第1号)
(ⅱ)特許査定の謄本送達日から30日以内(同項第2号)
・ただし、以下の場合は除外されます。
(ⅱ-1)前置審査において特許査定がされた場合(第163 条第3 項において準用する第51条)
(ⅱ-2)拒絶査定不服審判において拒絶査定が取り消され、審決により審査に差し戻されて、特許査定がされた場合(第160条第1項及び第51条)
・ただし、特許査定の謄本送達日から30日以内であっても、特許権の設定登録がなされた後は、特許出願が特許庁に係属しなくなるため、分割はできません。
(ⅲ)最初の拒絶査定の謄本送達日から3月以内(同項第3号)
・ただし、拒絶査定不服審判において拒絶査定が取り消され、審決により審査に差し戻さ
れて、再び拒絶査定がされた場合は、除外されます(第160条第1項及び第49条)。
❸原出願の分割直前の明細書等に記載された発明の全部が分割出願の請求項に係る発明とされたものでないこと。
❹分割出願の明細書等に記載された事項が、原出願の出願当初の明細書等に記載された事項の範囲内であること。
❺分割出願の明細書等に記載された事項が、原出願の分割直前の明細書等に記載された事項の範囲内であること。
・ただし、ただし、原出願の明細書等について補正できる時期に特許出願の分割がなされた場合は、❹が満たされれば、❺も満たされているとされます(審査基準 第Ⅳ部 第1章 第1節 2.2)。