【104】相続人がいない場合の特許権

Q)特許権者が死亡しましたが、相続人がいない場合、この特許権はどうなりますか?

A)特許権は、相続人捜索の公告(=相続債権者及び受遺者に対する請求申出の公告、民法第957条第1項)の期間内に相続人である権利を主張する者がないときは、消滅します(特許法第76条)。
 相続人がいない場合には相続財産は国庫に帰属する(民法959条)のが原則ですが、特許法第76条はその例外規定として、相続人がいない場合には特許権は消滅するとしています。その理由は、特許権を消滅させて一般公衆に公開し、その特許発明を自由に実施できるようにすることが、産業の発達に資するからだとされています。
 ただし、相続債権者や受遺者が存在する場合も考えられますので、特許権者の死亡時に特許権が直ちに消滅するとしてはこれらの保護にもとります。そこで、民法の規定により諸種の手続を行い、その結果、なお権利を主張する者がない場合にのみ特許権は消滅するとしました。