キーワード:外国知的財産権法制度
「外国の知的財産関連の法制度について情報を入手するには?」
<記事本文>
Q:今回初めて外国特許出願をしようと思うのですが、外国の知的財産関連の法制度について、情報を入手するにはどうしたらよいでしょうか?出願国についてはいくつか候補はあるのですが、最終的にどの国に出願するのかはまだ決めていない状況です。まずはそのための情報を手に入れたいのです。
A:今回初めて外国特許出願するために、各国の知的財産制度概の情報を入手されたいということですね。今回のケースでは、まずは、各国の知的財産関連の法制度の概要を把握したいということになるでしょうから、コスト的に負担がすくない簡便な情報の入手法法をご紹介します。
1.インターネットからの情報
今日インターネットで検索すれば、いろんなサイトから情報を入手することが可能ですね。しかし、外国知的財産権の法制度については法改正に対応していないサイトであったり、情報の出所が保障されていないサイトもあるかもしれませんね。そういった観点から、今回は、ある程度信頼性が高いと思われるサイトをご紹介します。
(1)特許庁の外国知的財産権情報のサイト
(https://www.jpo.go.jp/index/kokusai_doukou/index.html)
特許庁のサイトですので情報について高い信頼性があり、なおかつ日本語で記載されているという点で、お勧めします。主に、各国の特許制度を条文ベースで確認したいときにお勧めのサイトです。
(2)特許庁委託事業「外国産業財産権侵害対策等支援事業」のサイト
(http://www.iprsupport-jpo.go.jp/miniguide/miniguide.html)
こちらは特許庁による外部委託事業の一環で開設されているサイトであり、主に外国の産業財産権制度や隣接する法律・制度の図書・刊行物を収集し、その概要を公開しているサイトです。このサイトでは、諸外国の法制度の概要を総括的に説明されており、一般の方にもわかり安いということや、Q&A形式の事例集などもあることから、具体的事案に即した説明も充実しているということから、非常に参考になると思います。
(3)日本貿易振興機構(JETRO)のサイト
(https://www.jetro.go.jp/themetop/ip/)
いわずと知れたJETROのサイトにも知的財産権保護に関する情報として国・地域別の情報が掲載されています。特に、同サイト内にある「国別模倣対策マニュアル・報告書」は秀逸です。
(4)日本弁理士会のサイト
(http://www.jpaa.or.jp/?p=489)
弁理士会でも外国の知的財産に関する情報サイトがあります。ここはどちらかというとある程度専門的知識を有する人向けのサイトです。
(5)外国の特許庁のサイト
各国の特許庁のサイトにはその国の知的財産の条文やその概略が掲載されていることが多いです。ある程度知的財産の知識がある方や、最新の知的財産制度について確認したい方などは、各国の特許庁のサイトで確認してみるというのも宜しいでしょう。
各国の特許庁のサイトは、インターネットで検索することで知ることもできますし、特許庁に各国の特許庁へのリンクが貼られているので、そこからアクセスすることも可能です(https://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/fips/mokuji.htm)。
2.無料の相談制度を利用する
(1)JETROの無料相談
JETRO(上記「1.(3)」をご参照下さい)では、外国ビジネスに関する相談業務も受け付けているようですので、同サイトから情報を入手するだけでなく、相談してみるのも一案でしょう。
(2)日本弁理士会の無料相談
日本弁理士会(上記「1.(4)」をご参照下さい)では、知的財産に関して常設の無料相談を開催していますので、諸外国の知的財産制度について相談することもできます。弁理士会の無料相談制度を利用される際は、事前に弁理士会に電話されることをお勧めします
(http://www.jpaa.or.jp/?p=440)。
3.日本の特許事務所を経由して、直接現地の代理人に質問をする。
出願国が決まっており、具体的な質問事項が固まっているような場合には、現地代理人に直接質問することが最も確実な方法です。とはいえ、現地代理人とのパイプをお持ちでない方が大半でしょうから、日本の特許事務所に、現地代理人に質問するよう依頼することがよいでしょう。外国案件について豊富な経験を有する日本の特許事務所であれば、各国の現地代理人とのパイプを持っていますし、日本の特許事務所からも外国特許出願をするにあたっての全体的なアドバイスをしてくれることでしょう。
なお、この方法では費用(質問に対する現地代理人の費用等)が発生することがありますので、費用については予め特許事務所に確認して下さい。
4.まとめ
ここでご紹介したのはほんの一例です。また、実際に外国特許出願をされる場合には、現地代理人に手続を依頼しなければならないのが通常であり、その場合は日本の特許事務所を介して現地代理人に特許出願を依頼するという形が多いです。よって、外国特許出願の可能性がでてきた時点で、日本の特許事務所に一度ご相談してみることがよいでしょう。
※ 本項は一般的な事項についての記載であり、これをもって何らかの法的アドバイスをするものではありません。具体的な事案の対処については専門家にご相談下さい。